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淡々と戦場の『真実』を写し取った名作 「アメリカン・スナイパー」(2015) 感想



ぷらすです。
今回ご紹介する映画は、今年公開された「アメリカン・スナイパー」です。
イラク戦争に4度従軍した伝説のスナイパー、クリス・カイルの自伝を元に、名匠クリント・イーストウッドがメガホンを取った名作ですよー。

 

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/81224/poster2.jpg?1422332306

 画像出典URL: http://eiga.com/

 

 

概要

イラク戦争に4度従軍し、160人を射殺した実在の狙撃手、クリス・カイルの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」を原作に、兵士の真実を描いた映画。
脚本製作中に、クリス・カイルが退役軍人に射殺されたこと、また本作をめぐって著名人や政治家の間で論争が起こったことでも話題を呼んだ。
監督は、今や彼の作る映画にハズレなしと言われる名匠、クリント・イーストウッド、主演は「世界にひとつのプレイブック」で主演し、「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」でロケットの声も演じた名優 ブラッドリー・クーパー。

 

あらすじ

テキサス生まれで、父親から狩りの手ほどきを受けて育ったカーボーイ、クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は国を守る為、30歳で米軍に入隊、厳しい訓練の末に特殊部隊ネイビー・シールズ隊員となる。
訓練中に出会った妻、タヤ(シエナ・ミラー)と結婚式を上げた当日、派兵が決まったカイルは、イラクで狙撃手として多くの功績を挙げるが、過酷な戦場と幸せな家庭のギャップに、やがて、彼の心は少しづつ蝕まれていく。

 

感想

本作は、公開後に著名人や政治家まで巻き込んで、大きな論争を引き起こしたと聞きました。
もちろん、色んな意見はあったんでしょうが大きく分けると、「戦争賛美のプロパガンダ映画」という批判と「米国を守った英雄譚」という賞賛だったみたいです。

が、僕はどちらも違うと思います。
本作で語られるのは『一人の兵士』の生涯を、淡々と描いた、とてもミニマムな物語なんじゃないかと。

カイルは、子供の頃に弟をいじめた少年とケンカをします。
その時に、父親から言われたのが、
「人間には三種類いる。狼に襲われる羊、羊を襲う狼、狼から羊を守る番犬だ」
です。そして父親は兄弟に、お前たちは「番犬であれ」と教わるのです。

この教えが、まるで呪いのように彼の人生を決定します。
テキサスでロデオで生計を立てる彼は、1998年のアメリカ大使館爆破事件をテレビで見て、30歳という年齢ながら愛国心から米軍に入隊、厳しい訓練の末に、ネイビー・シールズの狙撃手として従軍します。

結婚早々イラクに派兵され、最初の標的は女性と子供。
カイルは、そのことにひどく心を痛めますが、しかし「羊(国民)を守る番犬(兵士)」として、また「狼」から仲間を守るために、多くの『敵』を射殺し『伝説』と呼ばれるようになるのです。

その一方で、米国に戻れば妻と子供に囲まれた穏やかで幸せな暮らし。
敵に囲まれて命を削る『兵士』としての日常と、妻や子供と幸せに暮らす『夫として父親として』の日常。

その間で、カイルの心は徐々に引き裂かれ不安定になっていきますが、しかし決して家族に弱いところを見せようとはしません。

なぜなら家族は守るべき「羊」で自分は「番犬」だからです。

本作では、敵のアルカイダに所属する狙撃手が登場します。
シリア出身で、元五輪選手ムスタファ(サミー・シーク)という射撃の名手。
劇中、彼の素性はほとんど語られませんが、1シーンだけ彼の妻らしき女性と赤ん坊が登場するシーンがあります。

特になんの説明もありませんが、ムスタファが「カイルの影」として描かれているのは間違いなく、実際多くの仲間が彼によって射殺されます。
つまり彼もまた「番犬」なのですね。

そういった、いくらでもドラマチックに盛り上げられる内容を、しかしクリント・イーストウッド監督は、ただ淡々と描いていきます。
まるで、観客に対して、敵はおろか、ネイビーや主人公のカイルにすら、安易な感情移入を拒絶するような作りです。(それでも決して退屈な映画にしないのは流石としか言い様がないですが)

多分それは監督やスタッフの、クリス・カイルや奥さんのタヤに対する最大限の敬意であり、本作のテーマを観客に預けたんじゃないかなーと僕は思います。
「この映画を観て、君たちは何を思う?」と。

上記のように、製作途中でクリス・カイルさんは同じ米国の人間に射殺され、それを受けて映画の脚本も改変せざるを得ない状況になったと聞きました。

彼が命懸けで守ろうとした「羊」によって命を奪われたことは何とも皮肉だし、本作を観るとやり切れない気持ちになります。

僕は上記の通り、この映画を『一人の兵士』の生涯を描いた物語として受け取りました。
あなたはどうですか?

まだ未見で、本作に興味のある方は是非、観てください。

そして、『何か』を受け取ってもらえたら嬉しいです。

ではでは。(*´∀`*)ノシ

 

 

 

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