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日刊オレラ

極上のひまつぶせるマガジン!

稲垣足穂x林海象x永瀬正敏で送る映画の未来! 「彌勒 MIROKU」(2013) 感想

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ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1986年のデビュー以来、日本映画を引っ張り続ける男、林海象監督の『彌勒 MIROKU』ですよー!
自身が教授を務める京都造形芸術大学芸術学部映画学科の学生90人と作り上げた意欲作です!

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/77163/poster2.jpg?1396886567
画像出典元URL:http://eiga.com/

 

 

 

概要

大正から昭和にかけて数々の作品を発表した作家・稲垣足穂の自伝的小説「彌勒」の映像化作品。
原作のもつ強烈な創造性と、哲学性の深さから映画化は不可能と言われた稲垣作品だったが、北白川派映画芸術運動の一作として機会を得、『私立探偵探偵 濱マイク』の林海象・永瀬正敏コンビが初の映像化に挑む。

また、林海象が教授を勤める京都造形芸術大学・映画学科の90人の学生たちをメインに、プロの映画関係者が学生たちをサポートしていく体制で制作され、「第一部 少年編」では、土村芳、大西礼芳、土居志央梨、水本佳奈子、中里宏美など、映画学科の女優たちが夢みる少年役を演じている。

また、本作は通常の『映画バージョン』の他に、映画に音楽が入っていない「生演奏版」も存在し、全国巡業では、天才音楽家 渡邊崇率いる「Sound on Film」の音楽家たちによる生演奏で上映される、映画上映というより、コンサートに近い興行も行われ、その全国巡業と連動しながら映画館での通常興行も行うなど、ドサ回り興行という映画創世記の原点に立ち返る『新しい試み』もされている。

 

あらすじ

13歳の少年・江美留(土村芳)と友人たちは、自分たちの将来を夢みていた。

科学者を、詩人を、哲学者を夢みる少年たちのなかで、江美留だけは自分の将来がはっきりと分からないまま。
そんなある日、友人の一人が突然自殺。その死を悼んだ少年たちは、丘の上にある天文台へと出かけていく。

彼らは望遠鏡を覗く天文学士(四谷シモン)に「そこから何が見えるのですか?」と尋ねるが、天文学士に「教えてくれないか、僕たちは何処からきて、何処にいくのかを?」と逆に問い返され、その答えを探そうと彼らの心はいつしか宇宙を見る。

そんな中、江美留は一冊の本のなかに、彌勒(みろく)の写真をみつける。
「五十六億七千万年後に、人類全てを救済するもの」と書かれた写真に閃きを得た江美留は、小説家を夢み、決断するのだった。

 

感想

…の前にちょっと前フリ。

1980年代~90年前半、僕はバカみたいに邦画や単館系映画を観まくってました。
それまでの、大手映画会社に入社して、下っ端から修行して監督へ~という旧態然としたシステムから、自主制作映画畑だったり、同じ映像でもCMやミュージックビデオ畑だったりと、他ジャンルから映画監督になる人の作品が増えた頃です。

いわゆる東映東宝や角川みたいに、日本中どこの劇場でも公開されるような大作じゃなくて、低予算で作られ気が付くとレンタルビデオ屋に並んでいるような作品が沢山あって、僕はそんな、低予算で、チープで、ワケがわからないけど熱量が異常に高いそれらの映画をとにかく観まくってたんですねー。
塚本晋也監督の『鉄男』とか、石井 聰亙監督の『逆噴射家族』とか。

本作の監督、林海象さんもその一人です。
ただ、最初に観たのが『ZIPANG』だったので、出会いは最悪でしたけどもw

林海象監督といえば、多分一番有名な作品は『私立探偵 濱マイク』じゃないでしょうか?
映画だけでなく、TVドラマにもなった永瀬正敏さんの出世作でもあります。

ここから本作感想です。

本作はこの少年期と青年期の二部構成になってて、主人公 江美留の少年期を大学の学生、土村芳さん(女性)が、青年期を永瀬正敏さんが演じています。

友人たちが次々将来の夢を決めていく中、江美留だけは自分の夢が決められずにいます。しかし、友人の自殺をキッカケに、少年期の最後で偶然見つけた弥勒菩薩に激しくインスパイアされた主人公は『何か』を閃き、得意の『想像』を形にしようと小説家になることを決めます。

しかしそれから十数年後、現実はそう上手くは行かず、主人公 江美留(永瀬正敏)はバラックのような街で食うや食わずの極貧状態。
自分が何を書きたいのかも分からずに、それまでに書いた原稿用紙の束を質屋に入れては、小銭を稼いで酒浸りの日々です。

たまにやってくる放浪の絵描き(佐野史郎)の差し入れのおにぎりや、街で焼き芋を盗んで食べ、辛うじて生き延びているような状態。

それでも『想像』は止まらず、不思議な美女に出会い、仲間が自殺した線路を這いずり回り、死にかけていると鬼(井浦新)が出てきて「おまえの目指す人間とは何か?」と問い詰められ。

そんな現実と幻想の狭間を漂う極限状態で、果たして江美留はその答えをみつけだすことができるか? 
そして、少年期にみた彌勒の姿とは、いったい何だったのか?

という内容なんですが、第一印象としては『あー、林海象っぽいなー』と。

モノクロの画面、チープで箱庭的な世界観。
本作では舞台背景(大正から昭和初期?)も踏まえてか『月世界旅行』のオマージもあり、セリフは全て文語体で、かつ非常に哲学的なので、もう全然頭に入ってきません。(原作の台詞回しを使ってる?)

少年役はすべて大学の映画学科の学生さんだそうですが、映画というより舞台演劇のような演技で、映画を観てるというより舞台演劇を映像で観ているような雰囲気でした。

夢の遊民社とか、天井桟敷のような、前衛的な舞台を観ているような感じ。って言えば伝わりますかね?
もちろんこれは、上記のような興行形態も見込んだ上での監督の演出なんでしょうけど、
「林監督、やりたい放題だなー」とw

本作は、林監督がずっと映像化したくて、それまで映像化の話は断ってきた、原作者 稲垣足穂氏のご遺族に直談判してOKを貰ったものの、色々な事情から中々映像化に着手出来なかった作品だそうです。

それだけに、監督も積年の思いが爆発しちゃってるのかもですが、じゃぁ、スゴイ名作かといえば微妙なところで、かなり好き嫌いが分かれるんじゃないかなーと。

それこそ、夢の遊民社・劇団唐組・寺山修司あたりが好きな人には面白いかもなーって思いました。

ただ、細かい部分はともかく、本作のテーマは表現に携わる人なら、ピンとくるのかもしれないですね。

作品=自分を極限まで追い詰め見つめたその先に表現は生まれるし、全ての表現者はその苦悩から逃れることは出来ない。

みたいな事かなーって僕は思ったんですが、合ってるかどうかは自信がありませんw
興味のある方、答えが知りたい方は是非!!

 

▼この記事を書いた彌勒▼

aozprapurasu.hatenablog.com

 

 

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