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日刊オレラ

極上のひまつぶせるマガジン!

ある家族の12年を淡々と追った名作 「6歳のボクが大人になるまで。」(2014) 感想



ぷらすです。
今回ご紹介するのは、昨年日本公開された『6歳のボクが大人になるまで。』です。
本作は、6歳の子役 エラー・コルトレーンくんを18歳までの12年間にわたりリアルタイムで撮り続けたことで話題になった作品。
劇映画でありながら、ドキュメンタリーチックでもある、なんとも不思議な手触りの映画でしたよー。

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/80704/poster2.jpg?1407203842
画像出典元URL:http://eiga.com/

 

 

概要

テキサスに住む夫婦とその子供たちの12年間を、淡々と描いていく作品。
主役のメイソンジュニアを演じるエラー・コルトレーンが、子供から青年に成長する姿を描くために、2002年の夏から2013年の10月まで12年間を通して断続的に撮影が行われた。

監督・脚本は、「ビフォア・サンセット」「ビフォア・ミットナイト」で知られるリチャード・リンクレイター。

 

あらすじ

両親の離婚後、姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とともに母親オリヴィア(パトリシア・アークエット)に引き取られ暮らすメイソンジュニア(エラー・コルトレーン)6歳。

3人は祖母の住むヒューストンに移り住み、母オリヴィアは講師を目指して大学に通い、二人の姉弟は週末だけ父のメイソンシニア(イーサン・ホーク)と会う生活。

やがて、オリヴィアは自身が通う大学の講師 ウェルブロック教授(マルコ・ペレッラ)と再婚、彼の連れ子二人と6人の生活が始まるが……。

 

感想

まず、本作で特筆すべきは主人公の12年間を本当に12年かけて撮っちゃったこと。
日本で似た形式だと「北の国から」がありますが、それを映画で(166分と長尺とはいえ)やっちゃったんだから、ビックリです。

だって、12年間収益ゼロですからね。
普通に考えてありえないでしょう。しかも、本作はドキュメンタリーじゃなくて劇映画なんですよ。

例えば12年間の間に、キャストの誰かが何らかの事情、例えば事故や病気で参加出来なくなったら、もしくは最悪キャストや監督が亡くなったら、それでこの企画はパーです。

そんな企画を考え撮った監督も、12年間(毎年夏に数週間づつ撮影したらしい)同じ役を演じ続けたキャストも、そんな無謀な映画にお金を出した出資者も、本当にすごいなーと。(ちなみにリチャード・リンクレイター監督は撮影中に自分が死んだら、代わりに監督してくれとイーサン・ホークに頼んでいたらしいです

そして本作では、彼らが何歳になったとか、「〇年後」みたいな説明は一切ありません。
その時々に流行っているカルチャーアイコン(例えばレディーガガのPVとか)を、それとなく映像に入れ込むことで、時間の経過を説明してるんですね。

ストーリーも悪く言えば「ぶつ切り」で、前後の繋がりがなかったりします。
そういう意味で本作は、とてもドキュメンタリックな手法で取られた映画とも言えるし、キャラクターと設定だけを共有したオムニバス映画に近いと言えるかもしれません。

ところが、演じているキャストは同じ人ですから、役者の容姿の変化とエピソードのちょっとした流れで、描かれていないエピソードを観客が想像で補うような作りになってるんですね。
小説で言うなら『行間を読む』みたいな感じでしょうか。

ハッキリと「こういうことがあってこうなった」とセリフやナレーションで説明するやり方だってあったと思うんですが、リチャード・リンクレイター監督はあえてつなぎの部分をボカすことで、観客に想像する余地を残したんじゃないかなーって思いました。

また、本作にはあまりドラマチックな展開はありません。
敢えて言うなら、オリヴィアの2番目の旦那とのトラブルが一番派手なエピソードで、それ以外は、イーサン・ホーク演じる父親とキャンプに行ったり、母親の都合で引っ越したり、サマンサとメイソンが思春期になったり反抗期になったり、彼氏彼女が出来たり別れたり、そして大学に入った子供たちが家を出たり。そんなどこの家庭でもあるような、なんてことない日々をただ淡々と描いていくのです。

劇中メイソンのセリフで「人生は一瞬の積み重ねで、だからどの一瞬が大事」みたいなセリフがあるんですが、本作の構造はまさに四人の家族の一瞬を切り取り、積み重ねることで、なんてことない家族の営みを極上のドラマに昇華させているんじゃないかと思いました。

多分、年齢や経験によって感情移入するキャラクターが変わると思うし、それによって受ける本作の印象も変わっていく、そんな映画だと思います。
もし、本作を観て感動したら、数年ごとに何度も見返してみるのも面白いかもしれません。

そうでなくても、人生で一度は出会うべき映画の一本だと僕は思います。

興味のある方は是非!!!

 

 

 

▼この記事を書いた6歳児▼