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日刊オレラ

極上のひまつぶせるマガジン!

ティム・バートンが描く嘘のような本当の話! 「ビッグ・アイズ」(2015) 感想

映画 映画-レビュー




ぷらすです。
今回ご紹介するのは、「シザーハンズ」や「チャーリーとチョコレート工場」などを手がけたヒットメーカー、ティム・バートン監督最新作、「ビッグ・アイズ」ですよー!
1960年代、米国アートシーンで本当にあった大スキャンダルを描いた伝記映画です!

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/80081/poster2.jpg?1422587632
画像出典元URL:http://eiga.com/

 

 

概要

アンディー・ウォーホールがその魅力を認め、60年代米国で一大ムーブメントを起こした絵画「ビッグ・アイズ」シリーズを巡るスキャンダルと、作者のマーガレット・キーンの半生を描く。
ティム・バートンにとっては、米史上最低の映画監督と言われた映画監督を描いた「エド・ウッド」以来20年ぶりに手がけた伝記映画。
主役のマーガレットを演じるのは、過去5回アカデミー賞にノミネートされたエイミー・アダムス。

 

あらすじ

1950年代、娘のジェーン(デラニー・レイ)と共に、横暴な夫から逃げてきたマーガレット(エイミー・アダムス)は、カリフォルニアで家具工場に勤めながら日曜画家として公園で似顔絵を描く日々。

そんなある日、同じ日曜画家のウォルター(クリストフ・ヴァルツ)と出会い、恋に落ちたマーガレットは出会ってすぐに結婚する。
ウォルターは自分が描いた風景画とマーガレットの描いた大きな瞳の少女『ビッグ・アイズ』のシリーズを持って、画廊などに売り込みをかけるものの「低俗」という理由で門前払いをくらうが、ひょんなことから地元の有名なジャズバーで『ビッグ・アイズ』が売れ始める。

天才的な商才を持つウォルターはその機会を逃さず、なりふり構わぬ売り込みの結果『ビッグ・アイズ』シリーズは一気に全米で一大ムーブメントを巻き起こす人気になるが、ウォルターが絵の作者は自分だと偽ったことから、マーガレットはその後10年間も彼の影武者として『ビッグ・アイズ』を描き続ける事になるのだった。

 

感想

本作が公開される時に、テレビでこのスキャンダルのあらましについて特集を組まれていたので、内容を知ってる方も多いかもしれませんが、本作の内容は1960年代に米国アートシーンに一大ムーブメントを巻き起こし、その後、全米を揺るがす大スキャンダルになった、本当にあった事件を元にしています。

僕もこの特集を観ていて、ある程度の内容を分かった上で本作を鑑賞したので、正直、もっともっとウォルターが悪者として描かれているんだろうと思ったんですが、想像よりもずっとフェアな描かれ方だったので、逆に驚いたくらいでした。

ウォルターは画家に憧れていた?ものの、残念ながらその才能には恵まれずに『自称画家』としてマーガレットに近づいてくる口の上手い男で、しかし商売に対しては天才的な才能と嗅覚を持った男。

対するマーガレットは口下手で、気が弱くて繊細な世間知らずの女性で、あっさりとウォルターの口車に乗って結婚してしまいます。

そんな風に書くと、まるでウォルターが詐欺師のようですが(実際、詐欺師になっていくんですが)、彼は最初からマーガレットを利用して富と名声を得ようとした悪党ではなく、小さな嘘を積み重ねるうちに、徐々に自分の嘘に溺れていく哀れな男でもあるんですね。

マーガレットの方も、何度か機会があったにも関わらず、ウォルターの嘘を許した結果、どんどん事態が悪化していくので、彼女が一方的な被害者というわけではなく、「共犯者」の一面もあることが、ちゃんと描かれています。

確かにウォルターのやったことは弁解のしようがないけれど、彼の商才がなければ『ビッグ・アイズ』はあそこまで有名にはならなかったろうし、儲けたお金でマーガレットも娘のジェーンも不自由なく(むしろ贅沢に)暮らせているわけで、そういう意味では、彼の「功罪」をありのままに描いてるなーと感心しました。

ちなみに、ウォルターを演じているクリストフ・ヴァルツは、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリア・バスターズ』冒頭で、ユダヤ人を匿う一家を言葉で追い込んでいく冷徹なナチの将校を演じアカデミー助演男優賞を受賞した人です。
独特な(というか胡散臭い)風貌とマシンガンのようによく回る舌は本作でも健在で、ラストの裁判所のシーンでは、思わず笑っちゃうくらい滑稽で、哀れなウォルターを見事に演じていましたよー。

今の視点で見れば、主体性がないように見えるマーガレットの行動に首をかしげる人もいるかもですが、本作の当時はまだまだ男性中心の社会で、女性が一人で子供を育てていくには厳しいという背景が下敷きになっていることを踏まえて観た方がいいかと思います。もちろん彼女自身の性格もあるんですけどね。

本作のネット評を読んでいると、ティム・バートンらしさに欠けるという意見も見かけますし、実際その通りなんですが、個人的にはマーガレット・キーンの半生を真摯に描こうとした結果、作家性が薄れたのかなーと思ったし、ひとりの女性の伝記映画として非常に好ましいと思いました。

興味のある方は是非!!

 

 

 

▼この記事を書いたスモールアイズ▼

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