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日刊オレラ

極上のひまつぶせるマガジン!

【映画紹介】何の為に戦うのか 『ウォーリアー』(2015年8月4日 DVD&Blu-rayリリース)

映画 紹介




 

http://dvd.gaga.ne.jp/warrior/images/top.jpg

画像出典(エンベッド):http://dvd.gaga.ne.jp/

あらすじ

トミー(トム・ハーディ)は14年振りに父・パディ(ニック・ノルティ)のもとを訪ねる。かつて酒に酔って暴力を振るった父は断酒をして別人のようになっていた。後日トミーは以前レスリングのコーチをして貰っていた父に、もう一度格闘技のコーチをして貰いたいと頼みに行く。一方UFC選手として活躍していた過去があり、現在高校で物理教師をしているトミーの兄・ブレンダン(ジョエル・エドガートン)も、娘の病の莫大な治療費が原因で生活が困窮した為に、止むを得ず再び格闘技の世界へと足を踏み入れる。時を同じくして、巨額の賞金が賭けられた格闘技の大会「スパルタ」が開催されることが報じられる。この大会を通じて、二度と合うことが無かったはずの父と兄と弟が引き寄せられていく。

 

 

                              www.youtube.com

  

ポイント

 

父の贖罪

二人の父であるパディは、どうにかして息子二人に許しを得ようとします。それは言葉による表面的なものや自己満足の為のものではなく、彼らに付けてしまった傷を治し、わだかまりを無くすことが自分の使命だと言うかのように努めます。パディが聴いている朗読が『白鯨』(ハーマン・メルヴィル著)であることにも注目です。

 

白鯨 (上) (角川文庫)

白鯨 (上) (角川文庫)

 

 

白鯨 (下) (角川文庫)

白鯨 (下) (角川文庫)

 

 

 

兄の狂奔

兄・ブレンダンは唯一この家族の中では幸せを掴み取った人物だったのですが、娘の莫大な治療費をきっかけに良くない方向に進んで行きます。彼にとって一番大事な物は父や弟ではなく自分の今の家族であり、格闘技は家族を守る為の金稼ぎの手段でしかありません。

 

弟の憤怒

本作で寡黙ながらも最も怒りを露わにしているのが弟・トミーです。彼が何故14年振りに父を訪ねたのか(海兵隊時代に何があったのか)、何故父だけでなく兄のことまで恨んでいるのか、そして レスリングで名声を得た彼が何故今更再び格闘技をするのか。その全ては物語の核なる部分に大きく関わってきます。

 

三人の「ウォーリアー」

タイトルの「ウォーリアー」という言葉には「戦士」という意味があるのですが、逆に戦士という言葉を英語に訳すと、同じ意味を持つ言葉として他に「ファイター(格闘家)」や「ソルジャー(軍人)」という言葉があります。「ソルジャー」は軍隊に限定された意味しか持たないので省くとして、格闘技の選手の話ならば「ファイター」で良いのですが、敢えて監督がタイトルを「ウォーリアー」にした理由は、この三人がリングではなく人生という場で戦い続ける戦士だからです。

 

圧倒的な説得力を持つアクションシーン

本作を語る上でアクションシーンを見逃すわけにはいきません。なぜこんなに迫力のある闘いのシーンを撮れたのかというと、まず監督がUFCのファンで多くの試合を観ていたということと、グレッグ・ジャクソン*1というMMA(ミックスドマーシャルアーツ、総合格闘技の意)のトレーナーを技術顧問に置いたことが大きいかと思われます。*2

また同じシーンを多角的に撮影することによって退屈なアクションシーンになってしまうことを避けている所も工夫が見られます。*3

 

 

 

作品解説

本作は実は2011年の作品なのですが、長らく日本公開が望まれていてこの度ようやく公開されたもののDVDスルー。それを知った劇場が期間限定で上映したり、またこのタイミングで再上映が決定したり*4

しかしそれも納得出来る内容で、単なる総合格闘技のアクションものではなくとても良く出来た話で、ラストは思わず涙がこぼれてしまう様な感動作になっています。メインの三人(父、兄、弟)の視点はどれもよく描けていて、寓意的なメッセージが込められています。

セル・レンタルのリリースが始まったばかりなので結末については触れないでおきますが、実際の試合の様な壮絶なアクションシーンと激しい戦いの末に現れる親子、兄弟にとっての勝ち負けを越えた「試合をする意味」を是非ご自身の目でご確認下さい。

 

作品情報

 

ウォーリアー [DVD]

ウォーリアー [DVD]

 

 

ウォーリアー [Blu-ray]

ウォーリアー [Blu-ray]

 

 

『ウォーリアー』

公開年:2011年(日本公開:2015年*5

監督:ギャビン・オコナー

出演:ジョエル・エドガートン、トム・ハーディ、ニック・ノルティほか

 

 

 

 

▼この記事を書いた人▼

 

 

*1:どうすれば試合中に有利な状況に身を置けるかという点のみに注目し、様々な方法で実証したデータを組み合わせ独自の論理で選手を育成するMMAトレーナー。

*2:Interview: 'Warrior' Writer/Director Gavin O'Connor on MMA & More | FirstShowing.net

*3:撮影監督は本作がハリウッドデビュー作となるマサノブ・タカヤナギ。本作の後に『ザ・グレイ』(2012)、『世界にひとつのプレイブック』(2012)、『ファーナス/訣別の朝』(2013)を撮影。

*4:リンク先:「トム・ハーディ主演「ウォーリアー」、新宿シネマカリテで再上映決定」映画ナタリー 

http://natalie.mu/eiga/news/155844

*5:ただし新宿シネマカリテの「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015」での限定一日のみの公開

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