あらすじ
文化祭目前のある日、バンド仲間の萠(湯浅潮音)の怪我がきっかけで恵(香椎由宇)と凛子(三村恭代)は喧嘩をしてしまう。恵は残りのバンドメンバーである響子(前田亜季)と望(関根史織)と共に新しいボーカル探しを始め、半ば強引に留学生のソン(ペ・ドゥナ)を引き入れる。本番までの三日間を通して、そんな彼女達の間に徐々に結びつきが生まれていく。
ポイント
何も起こらない
本作は珍しいことや特別なことがほとんど起こりません。実際の話を基に劇化した作品かと思うくらいリアリティのある女子校生の生活する風景が映し出されます。話の推進力としてはほぼ「文化祭で演奏が成功するか」という点だけです。
メインキャストの可愛さ
そんな作品でも魅力的に感じるのはバンドメンバーのキャストがとても可愛いということです。もちろんそれだけが魅力ではありませんが、この点だけで映画を観続けられる
程の魅力があります。
「ありそう」な出来事
大きな出来事は起こらないのですが小さな出来事は沢山描かれていて、その一つ一つが「こういうことってあるよね」という日本で学生生活を送った人にとって有り触れたことなのです。それが観る者の共感を呼ぶからこそ本作が派手さが無くてもつまらない作品にならない理由の一つだと言えます。
解釈
本作に関しては「実はこういったメッセージがある」というタイプの作品ではないので感想に近くなりますがご理解くださるようお願い致します。
さて、私が思う本作の一番の魅力はポイントでも挙げた通りキャストの可愛さですね。私が前田亜季さんや香椎由宇さんが好きという好みの話は置いといても、韓国人俳優のペ・ドゥナさんの可愛さは特筆すべき点です。これは見た目だけの話ではなく振る舞いや仕草もそうですし、本作に限ったことで言えば女子高校生役ということがとても魅力にプラスに働いていると感じました。20歳前後のキャストの中、彼女は当時25歳なのですが幼い顔立ちの影響もあり一切不自然さがありません。
留学生というともすれば馬鹿にされがち(実際に恵からはやや軽視されていた)な存在のソンを、応援したくなるキャラとして表現できた彼女の女優としての才能をまずは称賛したいです。(彼女無しでは本作の魅力は確実に減っていたと言えます。)
また他のキャストに関しても、その当時の年齢の若い当人達を映画に収めたという点で既に価値のある映像だと思います。そういった意味ではアイドル映画としても観ることが出来ます。
ストーリーは単純で、「バンドメンバーが欠けて文化祭に出れなくなったガールズバンドが新しいメンバーを急遽入れて文化祭まで練習に励む」というもので、大きな問題と直面することはないのですが、そこにそれぞれの事情や恋愛模様などが挟まれることでじわりとした青春の匂いが画面から感じ取れます。
冒頭にも書いたように、本作に問題提起やメッセージはありません。それは劇中で恵が凛子にバンドをやる理由を問われた時に言う「別に意味なんかないよ。」という言葉と重なります。凛子は恵と二人でバンドを始めたということもあり、自分のバンドで発表する「意味」を持ってやってきたので寄せ集めのメンバーでやるのは不本意に思い辞退しようとします。しかし恵はやりたいからバンドをして、やりたいから文化祭で演奏したかったのでやりたい以外の意味はありません。バンドから抜けるという凛子に対し、恵達は急遽バンドを組んで練習も十分ではないものの演奏し、成功しました。
このストーリーから敢えてメッセージを読み取るとすれば「やりたいことに意味を持つ虚しさ」だと思います。何か意味を持って日々生きているという人は少ないでしょうし、それ以外の人の方が一般的だと思われます。「やりたい」と思うことが率直に出来る青春時代の人間にとって、好きなことややりたいことに意味を問う意味はない(もしくは意味を持たないことの肯定)ということが本作のさり気ないメッセージではないでしょうか。
とんでもないことが起こる映画や派手な青春映画を観たい方にはお薦め出来ませんが、女の子が頑張る姿を観たい方にはお薦め出来る作品です。
さて今回で【夏休み特集】はおしまいになります。
今回この特集でわかったことは夏を描いた映画と夏に観たい映画っていうのは別なんだということでした・・・!
みなさんのお気に入りの夏休み映画があれば是非教えてくださいね。ではまた。
付記
・Base Ball Bearの関根史織さんを望役に抜擢したのも良かったと思います。
・怪我をしてバンドが出来なくなってしまう萠役の湯浅潮音さんが登場する、ある場面で驚いたんですがシンガーソングライターの方ということで納得しました。
・軽音部の顧問の小山先生役を甲本雅裕さんという俳優の方が演じられているのですが、これはブルーハーツの曲を扱うということがあってなのでしょうか。(甲本雅裕さんは甲本ヒロトさんの実弟)
・これから観る方に一言言うならば、魅力的な作品ではあるのですが本編自体が長く、静かなシーンが続くということもあって少し長く感じると思うので、寝る前に観るのは個人的にはあまりお薦めしません・・・。
作品情報
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『リンダリンダリンダ』
公開年:2005年
監督:山下敦弘
出演:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織など
-読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m-
▼この記事を書いた人▼